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【英語プロンプト】生成AIは英語と日本語で品質が変わる?日系企業のための使い分けガイド

Last Updated on 2025-12-01by Nobuo Oyama
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Index

なぜ「英語か日本語か」が日系企業の生成AI活用のボトルネックになるのか

US向けマーケティングで増えている「生成AI × バイリンガル業務」の現場

ここ数年、US市場向けにマーケティングを行う日系企業では、

* 英語のLP・ブログ・SNS投稿・広告コピー
* 日本語での社内資料・レポート・上申書

を同時に回す必要性が高まり、生成AIChatGPTなど)を「バイリンガル・アシスタント」として使うケースが一気に増えています。

しかし現場でよく出てくる声は、次のようなものです。

* 「英語でプロンプトを書いた方がいいと聞くけれど、英語で考えるのは正直しんどい」
* 「日本語で書くと、なんとなく浅い・薄いアウトプットになる気がする」
* 「チームに英語が得意な人とそうでない人が混在していて、ルールが決まらない」

つまり、「英語か日本語か」というプロンプト言語の選択が、生成AI活用の初期ハードルになっているのが実情です。

よくある誤解:「英語ならなんでも精度が上がる」というわけではない

一方で、「とにかく英語で書けば品質が上がる」というのも極端な理解です。多くの大規模言語モデル(LLM)は、英語以外にも日本語を含む多数の言語で学習されており、最新の研究では、「タスクによってはターゲット言語(日本語など)の指示の方が有利な場合もある」と報告されています。

つまり、実務的には「どの言語でプロンプトを書くか」ではなく、「どのタスクをどの言語で指示すると最も効率的か」を考えることが重要です。

生成AIの「英語優位」と日本語プロンプトの限界と可能性

学習データとモデル設計から見る「英語優位」の理由(研究・事例ベース)

まず押さえておきたいのは、「なぜ英語プロンプトが有利だと言われやすいのか」という構造的な背景です。

1. Web上の情報量の偏り

ChatGPTなどのLLMは、インターネット上の大規模なテキストを学習しています。ある日本語ブログの説明では、ネット上の言語別情報比率において「英語が約56%に対し、日本語は約4%程度」と紹介されています。そのため、英語でプロンプトを書くと、モデルが参照できる情報の“母数”が大きくなりやすいという構造があります。

2. 研究ベースの検証結果

2025NAACLの論文では、多言語LLMに対し英語指示とターゲット言語指示を公正に比較した結果、

     * 読解(Machine Reading Comprehension)タスクでは英語指示が有利
     * 語彙簡約タスクなどではターゲット言語指示が有利

といったように、タスクごとに有利な言語が変わることが示されています。ただし同論文は、英語の方がモデルにとって「指示どおりに従いやすい」傾向があるとも指摘しています。

3. 実務レベルの比較(ブログ記事の検証)

ChatGPTに同じ質問を「英語」「日本語」「英訳+回答+和訳(マルチタスク)」で投げた検証では、

     * 英語プロンプト:最も詳細で情報量が多い
     * 日本語プロンプト:英語の約半分の情報量
     * マルチタスク:さらに要約されたような短い回答

       という結果が報告されています。

これらを総合すると「英語でプロンプトを書くと、情報量が多く・指示への追従性も高くなりやすい、ただしタスクによってはターゲット言語(日本語)が有利な場合もある」というのが現時点での現実的な理解です。

日本語プロンプトの課題は「言語」よりも「あいまいな書き方」にある

一方で、「日本語だからダメ」というより、日本語の使い方が曖昧になりやすいことが問題になるケースも多いです。よく言われる日本語の特徴として

  * 主語や目的語を省略しがち
  * 暗黙の了解や行間に意味を込める高コンテクスト文化

が挙げられ、これが生成AIに対して「明確な指示を伝えにくくする」と指摘されています。また、「日本語でプロンプトを書くときに、前提や条件を書き落としがち」という実務上の課題もよく見られます。

また日本語の読み推定タスクにおいて、日本語プロンプトよりも英語プロンプトの方が、細かい条件に従順で良い結果を出したという検証もあります。このことから言えるのは、日本語であっても

  * 主語(誰が)
  * 目的(何をしたいのか)
  * 制約条件(文字数・トーン・対象読者など)

を明示的に書けば、生成AIは十分活用できる(逆に、英語でも曖昧な指示を出せば、やはり曖昧な結果になる)ということがいえるでしょう。

日系企業のUSマーケでのベストプラクティス:英語と日本語プロンプトの使い分け

英語プロンプトを軸にしたワークフロー例(+“human in the loop”の考え方)

「HUMAN IN THE LOOP」の文字とともに、生成AIと人間を矢印で循環的につなぐサイクルを示した近未来的なブルーネオン風の図解イメージ。左にAIの線画アイコン、右に人間の線画アイコンが配置され、AIと人間が相互に関与するワークフローを象徴的に表現している。

英語プロンプトのメリットを活かしつつ、日本語話者のチームでも無理なく運用するために、Seeknet USAとしておすすめしたいのが、「英語プロンプト+人間レビュー(human in the loop)」型ワークフローです。

1)“human in the loop”とは何か

AI分野でよく使われる“human-in-the-loop(HITL)”とは、「自動化されたシステムの運用・監視・意思決定プロセスに人間が積極的に関与する設計アプローチ」を指します。IBMは、HITLを「人間がAIワークフローのどこかの段階に関与し、精度・安全性・説明責任・倫理性を確保するための仕組み」と説明しています。

Google Cloudも同様に、HITLを「AI・機械学習のライフサイクルにおいて、人間が学習・評価・運用に参加し、モデルの正確性・信頼性・適応性を高める協働的アプローチ」と定義しています。

スタンフォード大学 HAIの記事では、HITLアプローチを「単なる自動化の問題を、人とAIのインタラクション設計(HCI)の問題として捉え直すもの」と表現しています。

本記事で提案するワークフローも、まさにこのHITLの発想に基づいています。

 

2)英語プロンプト × human in the loop のワークフロー例

例えば、US向けLPのドラフト作成であれば、以下のようなワークフローが検討できます。

1. 日本語で要件を整理(人間)

*目的(例:新商品の先行予約を増やしたい)
*ペルソナ(例:US在住の20〜30代、日本文化好き)
* 制約(文字数、トーン、「〇〇」というキーワードを含める など)

2. 生成AIに「日本語→英語プロンプト変換」を依頼(AI)

* 例:「以下の要件をもとに、英語でマーケティング向けのプロンプトを作成してください。その後、そのプロンプトを使ってLP構成案を英語で作成してください。」

3. 生成された英語プロンプト+LP案を人間がレビュー(human in the loop)

* 英語ネイティブ/バイリンガルの担当者が、

・意図が正しく反映されているか
・ブランドトーンに合っているか
・法規制・表現リスクがないか

をチェック・修正。

4. レビュー済みLP案をもとに、追加の修正指示を英語でAIに返す(AI+人間)

このサイクルでは、

* AIは「草案生成・写経」担当
* 人間は「意図設計・品質管理・最終判断」担当

という役割分担になっており、HITLのコンセプトそのものです。

英語が得意でない担当者が多い場合でも、

* 最初は日本語で要件を整理
* AIに英訳プロンプトを作らせる
* 最後の品質保証部分に、英語に強いメンバーや外部パートナーを配置

という設計にすれば、無理なく「英語プロンプトのメリット」と「人間の判断力」を両立できます。

日本語中心で進めたい場合のプロンプト設計のコツ(主語・目的語・制約条件を明示)

とはいえ、すべての業務で英語プロンプトを使う必要はありません。

* 社内向け資料
*日本語市場向けの施策
* とりあえずアイデア出しだけ日本語で行いたい場面

など、日本語中心で進めたいケースも多いはずです。その場合のポイントは、「日本語の高コンテクスト性」を意識的に補うことです。

具体的には以下の手法が検討できます:

1. 主語を明示する

   * 悪い例:「このサービスの強みを整理して」
   * 良い例:「当社(BtoB SaaS企業)が提供する『〇〇』というサービスの強みを、USのマーケティング担当者向けに3つ箇条書きしてください。」

2. 目的を明示する

   * 悪い例:「LPの構成案を作って」
   * 良い例:「US市場向けの新製品『〇〇』の先行予約を増やすためのLP構成案を作ってください。」

3. 制約条件を明示する

   * 読み手(Who):US在住の2030代、日本文化に関心があるライトユーザー
   * トーン(How):フレンドリーだが、安売り感は出さない
   * 形式(Format):

     ・セクション見出し
     ・各セクションの要約(100150ワード)
     CTA文候補を3

このように、「誰向け」「何のため」「どのような形で」をきちんと書き込んだ日本語プロンプトであれば、生成AIはかなり高いレベルで応えてくれます。

先に日本語の高コンテクスト性が生成AIとの対話で課題になりやすいことを指摘しましたが、これは裏を返せば、コンテクストを明示すれば大きく改善できるということでもあります。

FAQとまとめ

FAQ:生成AIのプロンプト言語に関するよくある質問

Q1. 英語が苦手でも、英語プロンプトを書いた方が良いのでしょうか?
A1. 無理に最初から完璧な英語プロンプトを書く必要はありません。

おすすめは、

1. 日本語で要件を整理
2. AIに英訳プロンプトを作成させる
3. 重要な案件だけ、人間(バイリンガル・外部パートナー)がレビューする

という HITL型ワークフローです。

これにより、英語力だけに依存せず、英語プロンプトのメリットを享受できます。

Q2. 社内ドキュメントはすべて日本語ですが、それでも英語プロンプトを使う意味はありますか?
A2. はい、特にUS市場向けの施策や英語コンテンツを大量に生成する場面では、意味があります。英語プロンプトは、モデルが参照する情報量が多くなりやすく、タスクによっては精度や情報量で有利になることが研究・実務両面で示されています。一方で、社内共有や上申資料など、日本語で最終アウトプットを用意したい場合も多いので、

  * 「英語で生成 → 日本語サマリーをAIに書かせる」
  * 「重要箇所は人間が日本語で要約・追記する」

    という二段構えが現実的です。

Q3. 情報漏えいの観点で、日本語の方が安全ということはありますか?
A3. セキュリティ・コンプライアンスの観点では、「英語か日本語か」よりも、

* 利用しているAIサービスのデータ利用ポリシー
* 社内の情報管理ルール(個人情報・機密情報の扱い)
* モデルを使う環境(社内専用環境か、パブリックなSaaSか)

の方が重要です。むしろ、英語プロンプトの方が表現が具体的になりやすく、結果的に余計な情報を書き込みすぎてしまうリスクもあります。言語に関わらず、「サービス名・個人名・金額・契約条件」など、社外秘情報をそのまま書かないルールづくりが重要です。

まとめ:プロンプト言語を戦略的に選び、生成AIUSマーケを加速させる

本記事のポイントを整理すると、次の3点に集約できます。

1. 英語プロンプトは「情報量」と「指示追従性」で有利になりやすいが、タスクによっては日本語の方が適する場合もある
2. 日本語プロンプトの課題は、日本語そのものよりも“曖昧な書き方”にある(主語・目的・制約条件を明示することで、品質は大きく改善できる)
3. 最も現実的なのは、“human in the loop”型のワークフロー(英語プロンプトでAIにドラフト生成を任せつつ、日系企業側の担当者(またはパートナー)が、品質・トーン・リスクをレビューする)

US市場向けのマーケティングでは、

* LP
* ブログ
* SNS
* 広告クリエイティブ

など、英語コンテンツを継続的に量産する必要があります。

プロンプト言語の選択と使い分けを戦略的に設計することで、生成AIを「単なる便利ツール」から「マーケティングチームの実質的なメンバー」へと引き上げることができます。

もし、本日の記事を読んで、

* 「自社の業務フローに合ったプロンプト設計・HITLワークフローを一度整理したい」
* 「英語コンテンツ制作を生成AIと組み合わせて効率化したい」

とお考えの場合は、ぜひ一度、Seeknet USAまでご相談ください。

日系企業向けに、英語/日本語のプロンプトテンプレート設計から、運用ルールの策定、コンテンツ制作支援までトータルでサポートいたします。

 

参照記事:

1. Taisei Enomoto et al., “A Fair Comparison without Translationese: English vs. Target-language Instructions for Multilingual LLMs”, NAACL 2025, 2025.]

2. 0x9d28, 「日本語NLPタスクでも英語プロンプトが良いか?:読み推定を例に」, Zenn, 2023年3月26日.

3. モモ, 「ChatGPTの応答精度を上げるプロンプトとは – 英語、日本語、マルチタスクで比較」, AIフル装備, 2023年10月3日.

4. hisaho, 「なぜ日本人は生成AIのプロンプト作成に苦労するのか: 日本語の特性と文化的要因」, Qiita, 2024年12月30日.

5. IBM, “What is human-in-the-loop (HITL)?”

6. Google Cloud, “What is Human-in-the-Loop (HITL) in AI & ML?”

7. Stanford HAI, “Humans in the Loop: The Design of Interactive AI Systems”, 2019年10月20日.

 

大山 暢夫

GoogleやMeta、LinkedInなど、さまざまなプラットフォームの長所や課題をしっかり理解した、総合的なデジタルマーケティングの提案が得意です。今はアメリカの文化を歴史からサブカルまでまるっと味わい尽くすために英語に奮闘中。毎日新しい発見でいっぱいです!

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